KAZUMA NAKANO // ERIKO SATO

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拝啓 和馬くん

サトエリさんとのツーショット、キマってるね。いい顔してる。ぼくだったら照れ笑いを浮かべて、きっとしまりのない顔になるにちがいないけど、やっぱり和馬くん、いい仕事をしてる、そういう顔だ。

レンズの向こうにいる和馬くん。詭弁(きべん)とはほど遠いところにある深い自信と、少しだけ何かにおびえている表情がいかにも和馬くんだ。
和馬くんはいつもぼくを驚かせてくれるね。

念願かなって入った大手商社をたった一年であっさり辞めて、独学で陶芸を始めたんだよね。「いま、デンマークで勉強してる」と不意の手紙をよこすのもいかにも和馬くんだ。

あのルーシー・リーさん(Lucie Rie)に「作品をほめられた」って、いつもハッピーなニュースを届けてくれるのも和馬くんだね。
努力家だよね。焼成の具合や素地の違い、時間、釉(うわぐすり)との微妙な関係。すごく複雑なマトリクスをひとつひとつチップ(良品も、駄作も)にして、膨大な「和馬データベース」として見せつけられたときは、「コイツ、半端じゃない」と思った。

去年、念願かなって、小さな町の丘陵地に窯を持ったんだよね。今回、サトエリさんもそこを訪れたというわけだ。

「Yくん、今度いつウチ来る?」
ごめん。なかなか行けなくて。
「一緒にパイプでも吹かそうよ」
いいね、妙案だ。
「寝っころがって本読んでもいいしさ、好きに使っていいよ」

そうそう和馬くん、もうすぐ個展だね。
もちろんぼくは行くよ。少しばかりのお小遣いをもってね。


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